その他福岡14(公然わいせつ)

その他福岡14(公然わいせつ)

福岡高等裁判所那覇支部/平成16年(う)第4号

主文
不詳

理由
 
供述者が若年である場合,被影響性が大きく,暗示を受けやすいことは動かしがたい事実であり,取調べに当たっては暗示や影響を与えることを極力排除すべき慎重な配慮が必要であることはいうまでもない。そして,取調官が暗示的な言動をするのは論外であるが,そのような言動がない場合でも,捜査の経過によっては面通しを実施すること自体が暗示,予断の原因になるときもあり,そのようなときには,面通しの実施は避ける必要がある。本件においては,目撃者ら(いずれも14歳)は,それに客観的な根拠があるか否かはさておき,被告人車と犯人車の同一性を確信し,車両番号の認識とその記憶の正確性に確信をもった上で,それを警察に通報していたのであるから,その当日に面通しが行われるというものであれば,面通しの実施自体によって,目撃者らが,自分たちの提供した情報に基づいて被疑者が検挙され,その被疑者についての面通しが実施されるのではないかとの暗示を受け,そのような予断を持つ危険があることは明らかであるといわざるを得ない。

 そして,本件における面通しは,目撃者ら3名が,被告人の取調室の外から,透視鏡(40から50センチメートル大)を通して中の3人の人物を見るという方法で行われ,その際,面通しの対象となったのは,糸満警察署司法警察員警部補(当時46歳。身長170センチメートル,体重72キログラム。スポーツ刈り。私服着用。),同警察署司法警察員巡査部長(当時35歳。身長177センチメートル,体重81キログラム。),被告人(当時27歳。身長172センチメートル,体重65キログラム。)の3人であり,その3人が3回くらい立ったり座ったりする方法により実施されたというものであるが,警察官両名は,そもそも,目撃者らが供述する,30代前半,20代後半という犯人の年齢にそぐわない上に,その容貌等においても目撃者らが概括的に供述する犯人の特徴を全く具備していないのであって,現に,目撃者らは,上記両名に関しては,一見して犯人でないことが分かったと供述している。
 
以上によれば,本件における面通しは,その実施自体が供述者に暗示,予断を与える危険性が極めて高い上に,その内容自体も供述者に実質的に選択の余地を与えないような強度に暗示的なものであるといわざるを得ず,その結果,目撃者らが被告人を犯人として選択し,逆に被告人の容貌をその場で犯人の容貌として記憶してしまう危険性が極めて大きいものであったと認められる。検察官の控訴趣意は,面通しの際,被告人が犯人であるとの暗示,誘導は一切なかったなどと主張するが,面通しの実施そのものが暗示、誘導になることがあるという問題点についての理解を欠くものであり,失当である。
 
そして,目撃者の犯人の視認状況は良いとはいえず,現実にも,目撃者は,本件面通しの前には,犯人の容貌の特徴として,眉が細いこと,ピアスをしていたこと,丸い帽子を被っていたことしか供述し得ていなかったことを考慮すると,目撃者が,原審公判において供述する際に有していた犯人の容貌に関する認識というのは,目撃者が本件面通しにおいて被告人を犯人として選択した結果,逆に被告人の容貌を犯人の容貌として記憶していたものである疑いが極めて濃いといわざるを得ない。 
 
したがって,原判決が,目撃者が面通しを通じて対象者の年齢等から被告人を犯人として考えて選択し,その場で犯人の容貌として記憶してしまった可能性を否定できないとして,以後の目撃者の被告人が犯人である旨の供述の信用性を否定する要素であると判断したことに誤りはない。

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