覚せい剤福岡2

覚せい剤福岡2

福岡地方裁判所/平成15年(わ)第1738号等

主文
被告人を懲役6年に処する。
未決勾留日数中690日をその刑に算入する。
平成16年4月9日付け起訴に係る覚せい剤取締法違反の公訴事実(当庁平成16年(わ)第507号事件)について,被告人は,無罪。

理由
(犯罪事実)
 
被告人は,
第1 B及びCと共謀の上,平成14年12月6日午前4時ころ,Dが看守する岡山市a××番地の×所在のホームセンターE○○店において,窃盗の目的で,表出入口のガラスを破って同店に侵入し,同人管理に係るショルダーバッグ等24点(販売価格合計114万5200円相当)を窃取し,
第2 B及びCと共謀の上,平成14年12月17日午前4時54分ころ,Fが看守する山口市b町×番×号所在のデパート「G」1階において,正面出入口ドアのガラスを破って同デパートに侵入し,同人管理に係る腕時計等322点(販売価格合計2033万3694円相当)を窃取し,
第3 氏名不詳者2名と共謀の上,平成15年10月12日午前1時54分ころ,Hが看守する岡山市c町×丁目×番×号所在のI○○○店において,窃盗の目的で,北側出入口のガラスを破って同店に侵入し,バッグ等80点(販売価格合計380万7420円相当)を窃取し,
第4 氏名不詳者と共謀の上,平成15年10月25日午前4時30分ころ,Jが看守する福岡市d×丁目××番××号所在のKe店において,窃盗の目的で,正面出入口のガラスを破り,施錠を外して同店に侵入し,同人管理に係る現金約6万8000円及び請求書等15点在中の金庫1基,テレビ1台並びにハードディスクDVDレコーダー1台(時価合計約54万3100円相当)を窃取し,
第5 法定の除外事由がないのに,平成15年10月29日午後7時ころ,福岡市f×丁目×番×号所在のL駐車場に駐車中の自動車内において,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類若干量を含有する水溶液を自己の身体に注射して,覚せい剤を使用し,
第6 氏名不詳者と共謀の上,平成15年10月31日午前3時12分ころ,Mが看守する福岡市g×丁目×番×号所在のN1階「○○○○」において,窃盗の目的で,店舗正面東寄りのガラス戸を破って同店に侵入し,同人管理に係るジャケット等33点(時価合計206万1000円相当)を窃取したものである。
(証拠)《略》
(適用法令)
罰条
判示第1ないし第4,第6
各建造物侵入の点 いずれも刑法60条,130条前段
各窃盗の点 いずれも刑法60条、235条
判示第5 覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条
科刑上1罪の処理 判示第1ないし第4,第6につき,いずれも刑法54条1項後段,10条(1罪として重い各窃盗罪の刑で処断)
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(一部無罪の理由)
 
平成16年4月9日付け起訴に係る覚せい剤取締法違反の公訴事実は,「被告人は,法定の除外事由がないのに,平成13年6月11日ころ,福岡市<以下略>の当時の暴力団五代目○○組二代目○○一家二代目○○会組事務所内において,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類若干量を含有する水溶液を自己の身体に注射し,もって覚せい剤を使用したものである。」というものであるところ,第4回公判調書中の被告人の供述部分並びに被告人の検察官調書(乙37)及び警察官調書(乙36)によれば,被告人は本件犯行を自白していることが明らかであるが,その補強証拠である被告人の尿の鑑定書(甲147)について,当裁判所は平成17年12月7日付け決定書記載のとおり,検察官の証拠調べ請求を却下し,これに対する検察官からの異議も棄却していること,さらに,検察官が論告において補強証拠として指摘する証拠(甲88,117等)は,検察官の主張に照らしてみても,いずれも前記自白に係る事実の真実性を保障し得るものとまでは認められない上,本件全証拠を見渡しても前記自白に係る事実の真実性を保障するに足りる証拠はないことからすると,結局,本件公訴事実については犯罪の証明がないものといわざるを得ない。
 
よって,前記公訴事実については,刑事訴訟法336条後段により,被告人に対し無罪の言渡しをする。 
(量刑理由)
 
本件は,被告人が,平成14年12月から平成15年10月の間に,共犯者らと共謀の上敢行した建造物侵入,窃盗(いわゆる店舗荒らし)の事案5件,及び被告人による覚せい剤自己使用の事案である。
 
まず,各建造物侵入,窃盗の事案について,被告人は,暴力団構成員として活動していたところ,破門され,いわゆるしのぎがなくなって生活に困り,手っ取り早く金を手に入れようとして,「ガッシャンバリン」と呼んでいた店舗への侵入盗を繰り返すようになったものであって,短絡的な動機に酌量の余地はない。その犯行態様は,深夜,ガラスを破って店舗に侵入し,貴金属やブランド品等を手当たり次第に持ち去るというものであって,誠に大胆かつ悪質なものである。何より,各犯行による被害総額は2700万円を優に超えているのであるから,犯行の結果は重大というほかない。そして,被告人は各犯行においていずれも中心的な役割を果たしている。
 
また,覚せい剤取締法違反について,被告人は,いらいらした気持ちを解消したいなどという気持ちから覚せい剤をたびたび使用する中で,安易に犯行に及んだものであり,その犯情は決して芳しいものではない。
 
さらに,被告人は,罰金前科3犯のほか,懲役前科2犯を有し,各懲役前科についていずれも服役したのに,更に本件各犯行に及んでおり,規範意識が著しく鈍麻している。
 
以上によれば,被告人の刑事責任は重大である。
 
他方,窃盗の被害品の一部が被害者に還付されていること,覚せい剤事犯で処罰されるのは今回が初めてであること,2年以上にわたって身柄を拘束され,裁判を受ける中で,反省の情を示すとともに,社会復帰後は壱岐の実家に帰って家業のかまぼこ屋を手伝いたいと述べていること,年老いた両親や元妻らが被告人の身を案じていることなど被告人にとって酌むべき事情も認められるので,これらを総合考慮し,なお,未決勾留日数の算入について,本件審理の経過を考慮した上で,主文のとおり,刑を量定した。
(求刑 懲役10年)
平成18年1月18日
福岡地方裁判所第3刑事部
裁判官 柴田寿宏

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