
窃盗福岡5
窃盗福岡5
福岡高等裁判所/平成13年(う)第50号
主文
不詳
理由
論旨は,要するに,原判決の第2として,被告人がXから喝取したキャッシュカードを用いて,JR駅構内に備え付けの郵便局の自動預払機から現金10万円を引き出して窃取したとの窃盗罪の成立を認めるが,Xは,被告人から脅迫を受けて畏怖したにせよ,その判断で被告人にキャッシュカードを交付したものであって,それが瑕疵ある意思表示にあたるとしても,なお自由な意思により現金引出し行為を容認したものであることに変わりはなく,そうである以上,被告人の現金引出し行為は窃取行為にあたらず,先行する恐喝行為の不可罰的事後行為にすぎず、被告人は無罪であるから,原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
しかしながら,被告人の上記現金引出し行為は,喝取したキャッシュカードを処分したような場合とは異なり,その正当な使用の権限がないのにこれを使用し,郵便局長の占有管理を侵害して現金を不法に引出し領得したもので,さらに新たな法益侵害を構成するものであるから,窃盗罪の成立を認めるのは当然であり,恐喝の不可罰的事後行為とすることはできない。

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