背任福岡1

背任福岡1

福岡高等裁判所/平成14年(う)第630号

主文
不詳

理由
〔1〕被告人は,固定資産税評価額が突出して高い1筆の土地単価を周辺土地全体の面積に乗じて時価的に評価するという本件担保評価方法を考案して,上司の金融部長に示唆し,同部長がこの方法によることを決定した指示を受けて,同時価額に内部規定通りに時価に0.64を乗じるなどした担保評価額の明細を記載した「A1メモ」を作成し、これに基づく稟議書の下書きを作成し,これらを所管支所の担当課長A2に渡したが,それ以後は,本件貸付には関与していない。
〔2〕これを引き継いだA2は,A1メモでは融資限度額(担保評価総額の8割)が貸付予定額の1億300万円に及ばず担保割れすることなどから,A3部長に,A1メモの係数を0.64から1.5に変更するなどして担保評価を見直すことなどを説明してその承認を受けた上,A1メモの一部を書換えて「A2メモ」を作成すると共に,新たに正式な稟議書を作成して提出したが,固定資産税評価額を使う場合は,個々の不動産毎の固定資産税評価額(客観的金額)に1.5を乗ずべきで,現況や実勢価格等の要素を入れられないのに,A2メモは,これらの要素を入れたものに1.5を乗じたもので,a組合の担保評価基準から外れて合理性に欠け,不当に過大な担保評価に至るのが必然的で,不当な評価方法である。 
〔3〕A1メモとA2メモの間には,担保評価方式の許容性の有無の相違と共に,担保評価の結果にも,質的にも量的にも決定的な相違がある。
(参考) 養殖場等の土地 担保評価の総額 ×0・8  =貸付限度額
A1メモ:  7845万円 1億2730万円    1億0184万円(担保割れ)
A2メモ:1億8652万円 2億3465万円    1億8772万円
〔4〕A1メモとA2メモとの間には,前者を参考にして後者が作成されたという自然的な関連性はあるが,養殖場等の土地の担保評価の方法は質的に異なっていて,その結果である担保評価総額も著しい差があり,両者の間に実質的な連続性は認められず,むしろ,A3部長は,A2の担保不足等の説明指摘から,時価評価を基準とする方式をやめて,A2の進言通りの新たな担保評価方法を採用することを決め,A2メモが作成されるに至り,A2メモとこれに基づく稟議書の基本的な部分が維持された過大な担保評価によって,理事会で本件貸付が可決,実行されるに至ったものであり,被告人は,A2メモの作成とそれ以降の手続きに関与していないから,被告人の行為と本件貸付との間に因果関係があるとは認め難く,原判決が認定した被告人の行為をもって,背任の実行行為や幇助行為と見ることはできない。

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