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実刑と執行猶予の違い

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このページはこのような方を対象としています。

  • 息子が、西鉄大牟田線の大橋駅がある福岡市南区塩原のマンションの一室で振り込め詐欺の電話をかけていたとして南警察署に逮捕、勾留され、起訴されました。刑事裁判が始まりましたが、このまま刑務所に入れられるかと思うと不安です。
  • 福岡市営地下鉄空港線の中州川端駅近くの会社で経理を担当する夫が、会社のお金を横領した容疑で福岡市博多区石城町の博多臨港警察署に逮捕、勾留され、起訴されました。横領した金額が多額で全額は弁償しきれなかったのですが、夫が執行猶予になる可能性はありますか。
  • 夫が出張先のJR鹿児島本線の戸畑駅がある北九州市戸畑区汐井町で、LINEで知り合った14歳の女子中学生と性交したとして戸畑警察署に逮捕、勾留され、起訴されました。今後の夫婦関係は分かりませんが、子どもが小さいので執行猶予にしてもらいたいです。

Q1. よく耳にする「実刑」「執行猶予」ってどういう意味?

実刑判決とは通常執行猶予が付かない懲役や禁錮の判決をいいます。執行猶予判決と区別するための用語で,刑務所に行かなければならない判決をいいます。

これに対して執行猶予判決とは懲役刑や禁固刑を言い渡されたけれども刑務所に行かなくてもいい場合をいいます。例えば「懲役1年6月,執行猶予3年」という形で判決が言い渡されると,刑務所にはいかされず3年間何事もなく過ごせば懲役1年6月の刑は受けなくてもよいという判決です。逆に執行猶予期間中に再び犯罪によって有罪判決を受け執行猶予が取り消された場合は,前の刑も併せて服役しなければなりません。したがって,執行猶予中に受けた刑が懲役1年の実刑だった場合前の1年6月と併せて2年6月の間刑務所に行くことになります。

このように執行猶予判決の場合,刑務所に行かなくてもよいため同じ1年6月の懲役刑でも執行猶予がつくかどうかで大きな違いが生じます。

Q2. 実刑判決のデメリットは?

実刑判決の場合,刑務所に行かなければなりません。

保釈中の被告人が実刑判決を言い渡されるとその場で身体を拘束されてしまいます。判決確定までの間や控訴する場合などはもう一度保釈請求して認められなければ拘束されてしまいます。

また,刑務所に行くことになれば通常仕事を続けるわけにはいかなくなります。働けないので家族のいる方は経済的な問題も抱えることになります。

また,様々な意味で出所してから同じような生活状況を取り戻すことは困難です。

Q3. 執行猶予判決のデメリットは?

執行猶予判決になった場合は,刑務所に行かなくてすみます。勾留されていた人は釈放されて家に帰れますし,仕事や学校に行ったりすることができます。

ただし,執行猶予中に再び罪を犯してしまうと,前の刑の執行猶予が取り消されてしまう可能性があります。そうなった場合,2つの罪の合計期間刑務所に行かなければならなくなってしまいます。したがって,執行猶予期間中の生活には特に気を付ける必要があります。

また,一定の職業に就くことができなくなる制限もあります。
会社の就業規則によっては,執行猶予がついても禁固以上の刑になった場合には解雇とするところもあります。

Q4. 執行猶予期間中に再び罪を犯してしまった場合は、必ず実刑になるの?

必ずというわけではありません。

軽微なものであれば,罰金になって執行猶予を取り消されない場合もあります。また,再度の執行猶予も法律で定められています。

再度の執行猶予とは執行猶予中にさらに罪を犯してしまい判決を受ける場合に再び執行猶予判決を得ることです。
再度の執行猶予の要件は,1年以下の懲役又は禁固の言い渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときになされます。ただし保護観察付きの執行猶予期間中の場合には再度の執行猶予はつけられないことが法律で定められています。

Q5. 刑務所から出所後に罪を犯してしまった場合は、必ず実刑になるの?

必ず実刑というわけではありません。罰金や不起訴になる可能性もあります。

犯罪が軽いものとはいえないときや,同種の犯罪(窃盗で刑務所に行って窃盗でまた逮捕された場合など)を犯した場合には,再び実刑になる可能が高まります。
また,懲役刑の執行が終わった日から5年以内に罪を犯した場合には執行猶予が付くことはありません。

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