このページはこのような方を対象としています。
- 福岡市営地下鉄空港線の祇園駅がある福岡市博多区博多駅前の交差点で、交通事故を起こし、相手の方が亡くなってしまいました。博多警察署に逮捕、勾留され起訴され、今度裁判を受けることになりました。裁判がどのように行われるか分からず心配です。
- 息子が、JR鹿児島本線の赤間駅がある宗像市東郷のATMで詐欺の被害金を出勤しようとして、宗像警察署に逮捕、勾留され、起訴されました。被害者の方に、被害金を弁償すれば、刑事裁判で有利に判断してもらえると聞きました。親としてできることはありますか。
- JR鹿児島本線の折尾駅で盗撮をして逮捕されました。家のパソコンから100枚以上の盗撮画像が見つかり、北九州市八幡西区光明の折尾警察署に逮捕、勾留され起訴されました。これからどうなるか不安です。
Q1. 刑事裁判って何?刑事裁判と民事裁判の違いは?
民事裁判は、個人と個人が争う場合の裁判です。
他方で刑事裁判は、罪を犯した場合に、検察官が訴えて、刑罰を受けさせることを目的としてなされる裁判です。
例えば、お金を貸したけど返してくれないので訴えるという場合は民事裁判ですが、人を殺したので刑務所に行かせる場合には刑事事件です。
ただ、刑事裁判になる場合でも、民事裁判は問題になります。殺人事件であれば、刑事事件とは別に、被害者の遺族から犯人に対して損害賠償請求する場合には民事裁判となります。
Q2. 起訴されてから刑事裁判が終わるまでの日程・手続きは?
自白事件の多くは1か月半程度で終了します。
事実を認めている事件の多くは、起訴から第一回公判期日までが1か月程度、第一回公判期日から第二回公判期日(判決)までが2週間程度で、起訴から1か月半ほどで終了します。
裁判員裁判の場合には、認めている事件でも準備のため起訴から初公判まで5、6カ月かかることがあります。
否認事件、共犯事件、経済犯罪などの複雑な事件では、さらに刑事裁判が終わるまでの期間は長期化することになります。
Q3. 刑事裁判当日の手続きは?
大きな流れとして、①冒頭手続き、②証拠調べ手続き、③論告求刑と弁論、④最終陳述、⑤判決を行います。
①冒頭手続きは、まず人定質問を行います。これは人違いがないか確認するもので裁判官が被告人に氏名、住所等を訪ねます。
それから、起訴状朗読があります。これは被告人がどういう容疑で裁判にかけられているかを検察官が読み上げるものです。
その後、裁判官から黙秘権の告知があり、被告人と弁護人に起訴状の内容が間違いないかを尋ねます。ここまでが冒頭手続きです。
②次に証拠調べ手続きが行われます。
まず検察官が冒頭陳述を行います。これは検察官が証拠によって証明しようとする事実を述べるものです。冒頭陳述は犯罪行為だけでなく、犯罪に至る経緯、動機なども含めたものとなっています。
その後供述調書などの書証の取調べが行われ、証人尋問や被告人質問が行われます。
③それから、論告という、検察官の最終的な意見が述べられます。この時に検察官は求刑として具体的にどのくらいの刑が適当かということも述べます。その後弁護士が最終的な意見を述べます。これを弁論といいます。
④最後に、裁判官から被告人に何か言いたいことがあれば言ってください、という形で被告人の最終陳述が行われて審理が終了します。審理が終了することを結審といいます。
⑤あとは判決を待つことになります。稀にその場で判決を言い渡されることがありますが、通常は、1週間から2週間後に判決を言い渡します。
Q4. 刑事裁判は何回裁判所に出廷する必要がある?
自白事件の場合、通常2回です。
自白事件の場合には、1度目の期日で冒頭手続きから最終陳述までをやりきってしまい、2度目の期日で判決を言い渡すのが通常です。
この場合、1度目の期日は約1時間、2度目の期日(判決)は5分程度で終了します。
否認事件やその他複雑な事件になると、裁判所に行かなければならない回数は増えていきます。
また、追起訴といって、余罪などほかの事件が後から起訴されて、一緒に裁判することになると事件数が増え、日程が延びていきます。
Q5. 刑事裁判での主だったルールは?
刑事裁判には、①公開原則、②当事者主義、③起訴状一本主義、④自白法則、⑤違法収集証拠排除法則などのルールがあります。
①公開原則とは、裁判が一般の人が見られるように公開されていなければならないという原則です。これは刑事裁判だけでなく、裁判一般についてのものです。裁判が公開されていることによって公正な裁判が期待されます。
②当事者主義とは、裁判の主導権を当事者である弁護人・被告人や検察官が持つことをいいます。主張や立証について当事者が主導権を持ち、裁判所が中立公平な立場を維持することで誤りのない判断が期待できることになります。
③起訴状一本主義とは、裁判官があらかじめ見ることができるのは起訴状だけであり、証拠は裁判になるまで見ることができないという原則をいいます。裁判官が事前に捜査機関が作成した証拠を見ることで、予断を持って裁判に臨むのを防止するためです。
④自白法則とは、自由な意思でなされたものでない自白は証拠にできないという原則です。自白は、犯罪事実を直接証明する証拠であるため、自白があると軽率に有罪判決が下されてしまうおそれがあります。そのため自白が被告人の自由意思でなされたものでない疑いがある場合、裁判の証拠にできないとされています。
⑤違法収集証拠排除の法則とは、重大な違法手続きによって収集された証拠は裁判で使えないというものです。違法な手続きによって捜査機関が入手した証拠を、無制限に裁判で使えるとすると、違法捜査を助長し、人権侵害が行われるおそれが大きいため、判例で認められています。